特集 睡眠・眠りの基礎と臨床
3.睡眠社会学の展望~公衆衛生の観点から~
兼板佳孝
1
1大分大学医学部公衆衛生・疫学講座・教授
pp.1561-1564
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201406075
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
睡眠の問題は,心身の疾病や事故の発生を誘発することが知られており,わが国においては重要な社会的課題と認識されている。そのため,日本人を対象にした睡眠疫学研究が盛んに実施されるようになり,平均睡眠時間については,男性は7時間49分,女性は7時間36分と報告されている。筆者らが行った疫学調査では,日本人成人における不眠症状の有訴者率は,入眠障害が9.8%,中途覚醒が7.1%,早朝覚醒が6.7%であった。また,入眠障害に加えて,中途覚醒や早朝覚醒を併せ持つことは希ではないことも明らかになった。今後は,睡眠に関する疫学研究がさらに進展するとともに,睡眠公衆衛生活動が,より一層,推進されることが期待される。