第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け~新薬の広場~
■統合失調症治療薬・抗精神病薬
和田昌子
1
,
荒木博陽
2
1愛媛大学医学部附属病院薬剤部
2愛媛大学医学部附属病院薬剤部 教授・薬剤部長
pp.492-497
発行日 2013年1月31日
Published Date 2013/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201313492
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統合失調症治療薬として2012年に新たに上市された薬はない。現在わが国では8剤の第二世代抗精神病薬が使用可能であり,唯一の難治性統合失調症治療薬として2009年に上市されたクロザピンは年々使用患者数が増加しており効果をあげている。現在第二世代抗精神病薬のデポ剤としてはリスペリドン持効性製剤が使用されているが,これに次ぐ他剤のデポ剤の開発も進んでおり,さらにテープ剤の開発も発表された。投与経路の多様化によりさらに患者に適した薬物療法の提供,患者のQOL(quality of life)向上が期待される。セロトニン・ドパミン神経系に作用する薬剤のほか,グルタミン酸仮説に基づく薬物の開発は,これまでの薬物で効果の出にくかった陰性症状・認知機能障害をターゲットとした新たな治療展開を予期させる。