連載 患者のQOL向上と薬剤師の関わり PART I .院内製剤(63)
抗癌剤治療に伴い生じた口内炎の治療 ~ポラプレジンク飴製剤の有効性~
中野 遥
1
,
大河内真弓
1
,
日比 徹
2
1医療法人 秀和会 秀和綜合病院薬剤部
2医療法人 秀和会 秀和綜合病院薬剤部 薬剤部長
pp.2439-2443
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201310151
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抗癌剤治療の副作用による口内炎は高頻度に発生し,患者のQOL(quality of life)を著しく低下させ,抗癌剤治療そのものを中止せざるを得ない原因になっていた。
現在,亜鉛-Lカルノシン化合物であるポラプレジンクの含嗽が有効であるという報告があるが,含嗽回数の多さや服用時の不快感により,服用困難となる例が認められている。そこでポラプレジンクを飴製剤とし,投与回数を減らし不快感をなくすことでコンプライアンスが改善し,有効成分を口腔粘膜に長く滞留させることが可能となった。
今回,抗癌剤治療に伴い口内炎が発生した患者13例を調査し,ポラプレジンク飴が抗癌剤治療に伴う口内炎の治療に有効である可能性が見出されたため報告する。また,味覚障害,食欲不振が改善した症例や,口内炎発症予防目的での投与が有効であった症例を経験したので紹介する。