特集 臓器移植の現況と今後の展望
10.免疫抑制療法と新規免疫抑制薬の役割 2)エベロリムス
齋藤和英
1
,
高橋公太
2
1新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎泌尿器病態学分野 病院准教授
2新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎泌尿器病態学分野 教授
pp.2195-2200
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201309117
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エベロリムス(EVL)はmTOR(mammalian target of rapamycin)阻害薬であるシロリムスの誘導体として開発された。細胞周期のG1期からS期への誘導に関与する主要な調節蛋白であるmTORに結合して,細胞増殖シグナルを阻害することにより,T細胞,B細胞,血管平滑筋細胞,線維芽細胞,腫瘍細胞などの増殖を抑制する。この作用機序から,低用量では免疫抑制薬として,高用量では転移性腎細胞癌をはじめとする抗腫瘍薬として臨床応用されている。
本稿では,EVLの作用機序と腎移植における免疫抑制薬としての開発,ならびに臨床応用の現況について概説する。