特集1 ワクチン療法の最新事情
9.おたふくかぜワクチンの重要性
多屋馨子
1
1国立感染症研究所感染症疫学センター・室長
pp.1957-1963
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12013081957
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流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は発症すると特異的な治療法はなく,予防が重要な疾患である。おたふくかぜ含有ワクチンを国の予防接種スケジュールに導入している国々では,患者数が激減している。一方,わが国では任意接種であるため接種率が低く,4~5年に1回,100万人を超える大規模な流行を繰り返している。患者の約1~2%は入院を必要とする無菌性髄膜炎を合併し,患者の約1,000人に1人は高度感音性難聴を合併する。ムンプス脳炎も後遺症に繋がる重篤な合併症である。以上のことから一刻も早く国内の流行を抑制して,合併症に苦しむ人を減少させる必要がある。そのためには,おたふくかぜワクチンの定期接種化が望まれる。