CKD 患者に推奨されるワクチン接種
おたふくかぜ・三種混合ワクチン
藤倉 知行
1
1浜松医科大学第一内科
キーワード:
ムンプス
,
ジフテリア
,
破傷風
,
百日咳
Keyword:
ムンプス
,
ジフテリア
,
破傷風
,
百日咳
pp.1305-1308
発行日 2021年10月10日
Published Date 2021/10/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001931
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流行性耳下腺炎(おたふくかぜ;以下,ムンプス)は,Mumps orthorubulavirusによる小児の代表的な感染症である.ムンプスは,毎年地域的な流行が周期的に発生し,わが国でも3〜5年周期の流行がみられていた.1989年に,麻しんワクチンの定期接種時に,麻しん・ムンプス・風しん混合(MMR)ワクチンの選択が可能となったことから接種率が上昇し,発症報告数は一時的に減少した.しかし,MMRワクチンに含まれていたムンプスワクチン株による無菌性髄膜炎の発生が社会問題となり,1993年にMMRワクチンの接種は中止され,以降はムンプス単味ワクチンによる任意接種となった.結果,ムンプスワクチン接種率は再び低迷し,ムンプスは4〜5年ごとの全国流行を繰り返した.国立感染症研究所の調査によると,近年のワクチン接種率は30%程度であり,国内血清銀行保管血清を用いた抗体保有率は70%程度で,流行を抑制するために必要な集団免疫率には到達していない.成人の正確な発症状況は不明であるが,6歳未満の患者割合が減少し,10歳以上の患者割合が増加傾向にあり,一定数の成人発症があると推測される.
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