発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201306129
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メトホルミン塩酸塩(以下,メトホルミン)は消化器症状,特に下痢の発現率が高いことが報告されている。そこで,岐阜大学医学部附属病院におけるメトホルミンによる下痢発現状況を調査した結果,101人中27人(26.7%)に下痢が認められた。メトホルミンによる下痢発現に関与するリスク因子についてロジスティック回帰分析により解析した結果,〈1〉 初回投与量750mg/日以上,〈2〉 女性,〈3〉 年齢≦ 65歳,〈4〉 BMI(body mass index)≧25kg/m2,〈5〉 ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)≧ 30 IU/L,および 〈6〉ALP(アルカリホスファターゼ)≧ 270 IU/Lがリスク因子として見出された。さらに,リスク因子数の増加に伴い下痢発現率が直線的に増加しており,リスク保有数が3以上での下痢発現率は48.8%(20/41人)と高かった。この結果から,リスク因子保有数が3以上の患者に対してはメトホルミン初回投与量を500mg/日に減量,あるいは整腸剤や止痢薬の処方,緩下剤使用中の場合には中断指示等の対策を講じた。その結果,25人の新規患者において対策を実施した場合の下痢発現率は12.0%(3/25人)となり,減少傾向が認められた。(p= 0.188)。以上,メトホルミンによる下痢のリスク要因を解析し,その結果から適切な副作用回避策を立案し,実行することによって下痢の発現リスクを低下させることができた。