原 著
血液透析患者におけるエポエチン ベータ ペゴルの 2週に1回投与の有用性の検討
川井修一
1
1医療法人かわい泌尿器科クリニック・院長
pp.950-955
発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201303950
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日本では血液透析(HD)患者に対し,月2回の血液検査を実施している施設が多 い。エポエチン ベータ ペゴルの4週1回投与でヘモグロビン(Hb)濃度管理基準の維持を目指した場合,血液検査の結果に基づく投与量の微調整が困難であったり,投与量変更の指示漏れや投与忘れといった問題の発生が懸念される。そこで,欧米でのダルベポエチン アルファからエポエチン ベータ ペゴルへの切り替え試験の結果を参考に,HD患者のダルベポエチン アルファ週1回投与からエポエチン ベータ ペゴルの2週1回投与への切り替えについての妥当性を評価することにした。その結果,Hb濃度はエポエチン ベータ ペゴルの投与量を調整することでダルベポエチン アルファからの切り替え後6カ月間にわたり10.5~11.1g/dLの範囲に維持できた。エポエチン ベータ ペゴルの投与量は,切り替え前のダルベポエチン アルファ投与量比(エポエチン ベータ ペゴル/ダルベポエチン アルファ)で,1.03~ 1.27の範囲で推移した。従来,HD患者に対してはダルベポエチン アルファ週1回投与にてHb濃度は安定して維持されてきた本検討において,HD患者におけるダルベポエチン アルファの週1回投与からエポエチン ベータ ペゴルの2週に1回投与への切り替えはHb濃度を安定的に維持し,エポエチン ベータ ペゴルの投与量の調整および変更指示伝達については実地臨床の場により則していることを示唆している。リスクマネジメント,医療コストの観点からは更なる検討が必要であると考えられた。