歯の細胞生物学
エナメル芽細胞の分化制御機構
中村 卓史
1
,
成瀬 正啓
,
齋藤 幹
,
福本 敏
1東北大学 大学院歯学研究科口腔生物学講座歯科薬理学分野
キーワード:
Hydroxyapatite
,
Transforming Growth Factor Beta
,
Vitamin D
,
エナメル芽細胞
,
エナメル質形成不全症
,
細胞分化
,
歯牙発生
,
歯胚
,
上皮細胞
,
骨形成因子
,
Notch1 Receptor
,
Amelogenin
,
Hedgehog Proteins
,
Ameloblastin
,
Epiprofin Protein
,
Notch3 Receptor
,
SOX2転写因子
Keyword:
Ameloblasts
,
Amelogenesis Imperfecta
,
Receptor, Notch3
,
Cell Differentiation
,
Epithelial Cells
,
Odontogenesis
,
Tooth Germ
,
Vitamin D
,
Transforming Growth Factor beta
,
Durapatite
,
Bone Morphogenetic Proteins
,
Receptor, Notch1
,
Amelogenin
,
Hedgehog Proteins
,
SOX2 Protein, Human
pp.15-24
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.19020/J02201.2016149814
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歯の最外層は,エナメルと呼ばれる高度に石灰化した組織で覆われている.エナメルは,皮膚や毛,爪などと同様の外胚葉系上皮細胞が分化したエナメル芽細胞によって形成される,生体で唯一上皮組織が産生する硬組織である.エナメル芽細胞は,器官形成期のみ限定的に存在している細胞で,歯の発生が完了すると退縮上皮となり消滅してしまう.このため,すべての永久歯の発生が完了した成人では,エナメル芽細胞は存在せず,損傷したエナメル質を修復できる生物学的プロセスはなく,損傷はすべて不可逆性である.歯の再生医療を考えた場合,エナメル質形成に不可欠なエナメル芽細胞をどのように調達するかが課題となる.本稿では,歯原性上皮細胞からエナメル芽細胞へと分化する制御機構について述べるとともに,最近患児の増加が伝えられているくる病と臼歯切歯エナメル質形成不全症との関連について紹介する.
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