発行日 2016年9月20日
Published Date 2016/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2017076415
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40歳代女性。お腹の張りと四肢のむくみを主訴とした。1996年にC型肝硬変と診断され、その後、肝細胞癌が疑われたが悪性所見なく外来フォローとなっていた。また、低アルブミン血症による腹水と蜂窩織炎の既往があった。2008年にはADL(日常生活動作)が低下し、体重は20歳時の50kgから148kgまで増加したため、加療目的にて当院入院となった。四肢浮腫著明、腹部の膨隆、腹壁表皮の色素沈着・熱感があり、少量の浸出液を認めた。腹部エコーとCTにて腫瘍性病変や腹水は認めず、肝硬変の所見のみであった。蜂窩織炎の可能性も考え、抗生剤を投与するも改善せず、皮膚科医にコンサルトした結果、炎症性の皮下浸出液貯留と診断され、利尿薬の増量で経過観察となった。その後、体重の減少と四肢のむくみの改善は認めたが、腹部膨隆の改善は認められなかったため、外科的に腹部の切除術を行った。長径45cm、重さ8.0kgの浸出液を多量に含む皮下脂肪組織が摘出された。病理学的には著明な線維化を伴う非特異的な慢性皮膚炎と診断された。術後は経過良好で、QOL(生活の質)は改善し、体重は114kgまで減少した。腹部の膨隆も再燃することなく退院した。
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