臨床に必要な消化管による食欲調節の知識
食欲異常と消化管 消化器がんと食欲
上園 保仁
1
1国立がん研究センター研究所 がん患者病態生理研究分野
キーワード:
悪液質
,
抗腫瘍剤
,
口内炎
,
消化器腫瘍
,
食欲不振
,
半夏瀉心湯
,
六君子湯
,
Ghrelin
Keyword:
Antineoplastic Agents
,
Anorexia
,
Cachexia
,
Digestive System Neoplasms
,
Stomatitis
,
Ghrelin
,
Hange-shashinto
pp.1269-1274
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2016392520
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消化器がんの生存率は臓器によってかなりの違いがあるが,生存率の延びているがんも多く,長期に抗がん剤治療を受ける患者の副作用対策は急務である.消化器がんでとくに多いのが「がん悪液質」である.がん悪液質の症状改善は患者QOLの向上に必須であり,食思を改善し筋肉量の減少を防ぐことが重要である.食思改善にグレリンシグナルを促進する薬物の開発が進んでいるが,漢方薬六君子湯にグレリンシグナル増強効果が証明され,その応用が期待されている.また半夏瀉心湯には抗がん剤による口内炎を早期に治癒させる効果があることがわかってきた.消化器がんによる食欲低下に対する漢方薬の応用は重要な一手であると考える.
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