小児の消化器内視鏡診療
小児の胆膵疾患
十河 剛
1
,
岩澤 堅太郎
,
梅津 守一郎
,
角田 知之
,
乾 あやの
,
藤澤 知雄
1済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科
キーワード:
Caroli病
,
鑑別診断
,
膵炎
,
膵臓疾患
,
総胆管結石症
,
胆管炎-硬化性
,
内視鏡的逆行性胆道膵管造影
,
胆道疾患
,
胆道閉鎖症
,
Alagille症候群
,
肝炎-自己免疫性
,
胆道拡張症
,
肝線維症-先天性
Keyword:
Biliary Atresia
,
Biliary Tract Diseases
,
Cholangiopancreatography, Endoscopic Retrograde
,
Diagnosis, Differential
,
Pancreatic Diseases
,
Pancreatitis
,
Caroli Disease
,
Cholangitis, Sclerosing
,
Alagille Syndrome
,
Hepatitis, Autoimmune
,
Choledocholithiasis
pp.317-323
発行日 2015年2月20日
Published Date 2015/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2015168970
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小児の胆膵疾患は多彩であり,先天異常に基づき,新生児期に診断されるものから,無症状で偶然に発見されるものまでさまざまである.一方で内視鏡的診断や治療が必要となる胆膵疾患は成人と比べ少ない.原発性硬化性胆管炎(PSC)は肝内外の胆管に狭窄と拡張が多発する疾患であるが,診断には胆道造影が必須である.小児期には自己免疫性肝炎(AIH)との鑑別が常に問題となり,時に肝病理組織診断や血液検査,臨床症状からは,AIHとPSCの鑑別が困難なことがあり,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)が診断に有用である.診断モダリティの発達により,多くの胆膵疾患では非侵襲的な検査で診断が可能となってきたが,ERCPが有用な疾患や病態がある.胆道閉鎖症の一部には非定型な経過を辿り,胆道シンチグラフィーや腹部超音波検査では,他の胆汁うっ滞性疾患との鑑別が難しい症例がある.そのような場合には,ERCPが有用なことがある.先天性胆道拡張症では術前の膵・胆管合流異常の詳細な評価のためにERCPが有用である.また,原因不明の膵炎では,magnetic resonance cholangiopancreatography(MRCP)で異常がなくても,ERCPで膵・胆管合流異常が描出されることがある.小児のERCPが施行できる施設も限られており,十分な診断がなされていない可能性がある.
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