発行日 2013年12月20日
Published Date 2013/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2014105398
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40歳代女。全身倦怠感で近医を受診、糖尿病と高脂血症が指摘され、糖尿病治療薬と脂質代謝改善薬の投与が開始された。しかし約7ヵ月後、トランスアミラーゼが上昇し、2ヵ月半後に肝障害の悪化が認められた。そのためグリチルリチン・グリシン・システイン配合剤注射が開始されたが、約1ヵ月経過でAST、ALT、γGTP、ALPが増悪し、著者らの施設へ紹介となった。所見ではトランスアミナーゼ優位の肝障害が認められるも、B型、C型肝炎ウイルスマーカーは陰性であった。腹部エコーでは辺縁がやや鈍、表面平滑、占拠性病変や胆道系の異常はなく、肝腎コントラストの上昇も認められなかった。以上、これらの所見を踏まえて、受診時に服用していたイコサペント酸エチル、ボグリボース、アログリプチン、ロスバスタチンほか、防風通聖散は全て中止させ、ウルソデオキシコール酸、グリチルリチン・グリシン・DL-メチオニン配合剤錠を開始したところ、受診後3日で急速な肝障害の改善を認めたため、グリチロン配合錠内服を強力ミノファーゲンシー静注へ変更した。その結果、AST、ALT、γGTP、ALPの改善が得られ、強力ミノファーゲンシーの投与を中止し、ウルソのみの投与すると、更に改善が認められた。以後、1ヵ月で肝機能はほぼ正常化しウルソの投与を終了し、防風通聖散とクレストールを除く薬剤を再開した。尚、本症例は肝生検所見で自己免疫性肝炎を示唆する所見は認めず、薬剤性肝障害と判断した。
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