透析患者の中枢神経系障害
透析患者の脳病態生理学 脳腎連関
嶋 英昭
1
,
長沼 俊秀
,
庄司 哲雄
1寿楽会大野記念病院 内科・腎臓病センター
キーワード:
血圧
,
血液透析
,
リスク
,
脳卒中
,
慢性腎臓病
,
無症候性疾患
Keyword:
Blood Pressure
,
Renal Dialysis
,
Risk
,
Stroke
,
Renal Insufficiency, Chronic
,
Asymptomatic Diseases
pp.1443-1450
発行日 2013年9月10日
Published Date 2013/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2014021271
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心血管疾患(CVD)とは,心疾患,脳血管障害,末梢動脈疾患などを含む概念であり,とくに日本人において脳血管障害はCVDで大きな位置を占める.慢性腎臓病(CKD)では,心疾患のみならず脳血管障害の発症リスクが高い.無症候性脳血管障害(ラクナ梗塞,微小脳出血,大脳白質病変など)は,症候性脳血管障害(脳卒中)に先行する病態であると考えられ,将来の脳卒中,死亡,認知症,ADL低下などの予測因子である.無症候性脳血管障害は,CKD stageとともに合併頻度が高まるため,透析患者で認められる脳血管障害は保存期腎不全からの「持ち越し」であると想定される.いわゆる「脳腎連関」を説明する仮説の一つに「strain vessel仮説」がある.高血圧は脳腎両者に対する共通で最大の危険因子であり,十分な降圧とともに下げすぎにも注意した,適切な血圧管理が重要である.
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