連載 見落とし症例から学ぶ胃癌内視鏡検査
症例7 病変と捉えるか,良性のヘマチンと捉えるか
平澤 欣吾
1
1横浜市立大学附属市民総合医療センター内視鏡部
pp.1301-1303
発行日 2025年8月20日
Published Date 2025/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003627
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▶74歳,男性/上部消化管内視鏡検査(EGD)後の定期検査目的▶現病歴:2014年に胃潰瘍と診断され,H. pylori(HP)除菌療法が施行され,その後定期的なESDを受けていた.2017年に胃角小彎の0-Ⅱcと診断され,当院紹介受診.内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を施行しeCuraAであった.その後1年に1回のEGDサーベイランスを当院で施行していた.▶見落としの状況:2020年の定期検査のEGDで,体下部大彎後壁寄りにヘマチンの付着を認めた.除菌後ではあるが,萎縮はclosed typeであり胃体部の萎縮はあまり進行しておらず,とくに体部大彎の粘膜に内視鏡上の萎縮は認めなかった.検査医は表層性胃炎による粘膜出血と診断し,拡大観察などの詳細な観察はしていなかった.

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