特集 これからの胃癌診療
5.早期胃癌に対する内視鏡治療
川田 登
1
,
小野 裕之
1
1静岡県立静岡がんセンター内視鏡科
キーワード:
早期胃癌
,
内視鏡的切除
,
適応基準
,
内視鏡的粘膜下層剝離術
Keyword:
早期胃癌
,
内視鏡的切除
,
適応基準
,
内視鏡的粘膜下層剝離術
pp.882-889
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003107
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早期胃癌に対する内視鏡的切除は,リンパ節転移の可能性がきわめて低く,一括切除が可能な病変がその適応となる.内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)の開発と手技の確立により技術的な制限が解消されたこと,多施設共同臨床試験(JCOG0607,JCOG1009/1010)において良好な長期成績が明らかとなったことにより,①腫瘍長径2 cm超,UL0,cT1aの分化型,②腫瘍長径3 cm以下,UL1,cT1aの分化型,③腫瘍長径2 cm以下,UL0,cT1aの未分化型の早期胃癌が内視鏡的切除の適応拡大病変から絶対適応病変となった.今後は高齢者胃癌やH. pylori陰性胃癌に対する内視鏡的切除の適応基準や治癒切除基準について,さらなる検証が必要である.現在,高齢胃癌患者に対するESD新規適応規準の妥当性を検証する多施設共同臨床試験(JCOG1902)が行われており,高齢胃癌患者に対する新たな治療戦略の誕生が期待される.
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