連載 「胃炎の京都分類」の使い方
第17回 陥凹型びらんと体部びらんとはどこが違うのか
平田 喜裕
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1東京大学医科学研究所先端医療研究センター先端ゲノム医学分野
キーワード:
びらん
,
形態
,
原因
Keyword:
びらん
,
形態
,
原因
pp.219-223
発行日 2024年1月20日
Published Date 2024/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002936
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びらんとは内視鏡で観察される胃粘膜傷害の一形態であり,さまざまな原因により引き起こされる.「胃炎の京都分類」では,陥凹型びらん,体部びらん,隆起型びらんの所見が提示されており,それぞれ典型例として,びらん部周辺が平坦であるもの,体部に発生して線状を呈するもの,びらん周囲が隆起し“たこいぼ型”を呈するものと説明されている.この部位と形態による分類は必ずしも一義的なものではないため,重複する場合も生じる.陥凹型びらんは,Helicobacter pylori胃炎,ウイルス・細菌感染症,薬剤などとくに幅広い原因でみられ多発することが多い.体部びらんは胃酸や胃内容物,蠕動などによる物理的な影響により長軸方向に線状を呈することが多い.びらんの所見から原因疾患を推測し診断することが重要であり,とくに単発である場合には胃癌の除外が必須である.必要に応じて組織検査を行う.
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