特集 進化する画像診断 ―下部消化管領域
4.消化管画像診断(CT,MRI,PET) ―現状と課題(2)消化管疾患にMRI が果たす役割と今後の展望
吉原 努
1
,
髙津 智弘
1
,
三澤 昇
1
,
芦苅 圭一
1
,
大久保 秀則
1
,
中島 淳
1
1横浜市立大学肝胆膵消化器病学
キーワード:
MR enterography
,
cine MRI
,
拡散強調画像
Keyword:
MR enterography
,
cine MRI
,
拡散強調画像
pp.419-425
発行日 2022年3月20日
Published Date 2022/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002152
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近年,消化管疾患に対してMRIが普及している.MRIの最大の利点は,放射線被曝を伴わないため,定期的に検査を行うことが可能なことである.とくに炎症性腸疾患においては,定期的なサーベイランスが必要であり,徐々にMR enterographyが施行できる施設が広がりつつある.また,消化管蠕動運動を評価するために,cine MRIというモダリティがある.これは何枚もの静止動画を連続再生することにより腸管蠕動能を評価するものであり,慢性偽性腸閉塞症といった疾患の診断に重要な役割を果たしている.さらに,急性腹症をきたす絞扼性イレウスの診断にもcine MRIを適用する試みがあり,造影CTで診断が困難な絞扼性イレウスの治療方針に寄与する.またその際には拡散強調画像も併用することでより診断の精度が上がり,今後これらのモダリティの普及が望まれる.
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