特集 上部消化管腫瘍における先進的内視鏡治療の進歩
巻頭言
矢作 直久
1
1慶應義塾大学医学部腫瘍センター
pp.5-6
発行日 2020年12月20日
Published Date 2020/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001632
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内視鏡は文字どおり体外からは観察できない管腔内を観察するために開発されたものであるが,ニーズに合わせて見えたものを採取したり切除したりする処置具も開発されてきたため,治療機器としても大きな発展を遂げてきた.局所のコントロールを可能にする内視鏡治療は,以前から侵襲の大きな手術を回避するための切り札として捉えられているが,一方で焼灼したり切除したりできる範囲や深さが限られており,なおかつそのコントロールも困難であったため,わずか20年ほど前までは不確実で姑息的な治療法という印象を拭いきれない状況であった.しかし狙った範囲を切開し,粘膜下層深部までを確実に切除できる内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection;ESD)が開発され,状況が一変した.
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