特集 消化管疾患のER―診断と治療のポイント
4 .下部消化管出血
今村 倫敦
1
,
石井 直樹
1
,
矢野 貴彦
1
,
蒲池 健一
1
1東京品川病院消化器センター
キーワード:
下部消化管出血
,
大腸憩室出血
,
結紮法
Keyword:
下部消化管出血
,
大腸憩室出血
,
結紮法
pp.587-596
発行日 2020年5月20日
Published Date 2020/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001166
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強力な酸分泌抑制薬の登場により,比較的コントロールが良好となった上部消化管出血と異なり,未だに下部消化管出血においてはコントロールが十分とはいえない.とくに近年では憩室保有者の増加と抗血栓薬内服者の増加により憩室出血症例が増加している.今回,日本消化管学会より提唱された,「大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン」をもとに,血便患者,とくに憩室出血に対するマネジメントについて報告する.血便で来院された患者の初期評価としてバイタルの安定と上部消化管出血の否定を行っておくとよい.憩室出血が疑われた際には,出血源の同定法としてSRH を有する憩室を見つけることが必要である.止血法はさまざまあるが,診断から治療につながる内視鏡的止血術が第一選択になりうる.そのなかでも,結紮法は憩室出血に対する止血術として有効な方法であるが,ステロイド長期投与患者などでは腸管穿孔の報告例もあるため注意が必要である.
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