特集 症候別“見逃してはならない”疾患の除外ポイントPartⅢ
【項目】
食欲不振
片山 皓太
1,2
,
金井 貴夫
1,2
1筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター
2水戸協同病院 総合診療科
キーワード:
食欲不振
,
満腹中枢
,
摂食中枢
,
嘔吐中枢
,
迷走神経
Keyword:
食欲不振
,
満腹中枢
,
摂食中枢
,
嘔吐中枢
,
迷走神経
pp.1012-1014
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414200067
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心身のあらゆる疾患が食欲不振の原因となりうる(表1).
なぜならば,食欲は,視床下部の満腹中枢と摂食中枢が調整し,迷走神経や延髄の嘔吐中枢も関与しているからである.満腹中枢は,視床下部腹内側核にあり,胃壁の拡張が迷走神経を介する系と血糖上昇を感知する系によって満腹感を生じる.摂食中枢は,視床下部外側野にあり,食物記憶や五感による食物刺激によって空腹感を生じ,レプチンなどさまざまな神経ペプチドの関与が想定されている.嘔吐中枢は,消化管,大脳皮質,前庭器,第4脳室最後野にある化学受容体トリガー帯から刺激を受ける.すべての重症疾患は,迷走神経を介して食欲不振をきたしうる.
本稿では,食欲不振が主訴になりえ,かつ,食欲不振以外の症状が少なく,ピットフォールになりやすい“見逃してはならない”疾患を,筆者の独断と偏見により挙げてみる.
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