特集 透析患者の支持療法
5.食欲不振
加藤 明彦
1
1浜松医科大学医学部附属病院血液浄化療法部
キーワード:
食欲不振
,
グレリン
,
ピロリ菌感染
,
味覚障害
,
亜鉛欠乏
Keyword:
食欲不振
,
グレリン
,
ピロリ菌感染
,
味覚障害
,
亜鉛欠乏
pp.1469-1477
発行日 2019年11月10日
Published Date 2019/11/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001097
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血液透析(HD)患者では食欲不振は約1/3 に存在し,とくに透析日に合併しやすい.食欲不振は,入院や生命予後に影響する重篤な合併症である.食欲不振の原因は多岐にわたるが,最近では胃内分泌細胞から産生されて迷走神経を介して食欲を促進し,安静時エネルギー消費量を抑制するグレリンに注目が集まっている.活性型アシルグレリンは糸球体濾過量の低下とともに低下する.さらに,HD 患者ではピロリ菌を除菌することで,一部の栄養指標が1 年後に改善する.また,亜鉛欠乏症や一部の薬剤による味覚障害も透析患者では一般的であり,食欲不振の原因となる.最近,がん終末期領域では食欲刺激薬としてグレリン様作動薬が開発されており,今後の動向に注目したい.
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