連載 内視鏡の読み方
遺伝性出血性毛細血管拡張症における消化管出血の1例
樋口 和寿
1
,
貝瀬 満
1
,
岩切 勝彦
1
1日本医科大学消化器内科学
キーワード:
毛細血管拡張症
,
常染色体優性遺伝
,
アルゴンプラズマ凝固療法
Keyword:
毛細血管拡張症
,
常染色体優性遺伝
,
アルゴンプラズマ凝固療法
pp.1188-1192
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000476
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
上部消化管出血をきたす疾患は多彩だが,消化管粘膜の血管拡張症も出血原因病変となりうる.消化管粘膜血管拡張症にはバリエーションがあるが,遺伝性出血性毛細血管拡張症は代表的疾患の一つである.本疾患はSutton1)が1864年に報告したのが最初とされ,その後,Rendu,Osler,Weberらの症例報告が続き,疾患概念が確立されたため,Rendu—Osler—Weber病とも呼ばれてきた.本疾患はTGF—βシグナル伝達系の遺伝子異常により生じる全身の皮膚および粘膜の末梢血管拡張や肺動静脈廔,肝血管の奇形などの多発性動静脈奇形(arteriovenous malformation;AVM)が特徴であり,末梢血管拡張に伴い反復性の鼻出血や消化管出血をきたす.全身の血管に異常が起こり,出血傾向のみられる常染色体優性遺伝である.常染色体優性遺伝性の疾患のなかではもっとも高頻度といわれており,われわれの日常診療でも遭遇する機会が多い.今回は本症を取り上げ,内視鏡を中心とした診断の要点について述べる.
Copyright © 2018, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.