特集 消化器癌の拡大内視鏡診断
巻頭言
工藤 進英
1
1昭和大学横浜市北部病院消化器センター
pp.1655-1657
発行日 2017年11月20日
Published Date 2017/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000160
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
“木を見て森を見て葉を見て花を見る.そしてまた木を見る”.この多重視,複眼視が拡大内視鏡診断の根本である.正しいfocus の合った診断が正しい治療に結びつくことはいうまでもない.「神は細部に宿る」のである.その意味で,森だけを見て診断する旧来の診断学は,終焉したといっていいだろう.診断学なくして良い治療学は存在しないのである.周知のように内視鏡は消化器癌の診断を大きく進歩させた.この内視鏡診断の進展のなかで早期癌分類が成立し,また色素内視鏡は癌の質的診断・量的診断の向上につながった.内視鏡医は共通の言語・共通の目線で癌を見ることができるようになった.このことで自ずと日本の診断学が世界をリードするようになった.筆者らはX 線診断と内視鏡診断による早期癌診断のスパイラルアップのなかで,“幻の癌”とみなされていた大腸Ⅱc 病変を発見し,陥凹型腫瘍が大腸癌の発育進展において非常に重要な意味をもつことを確信していた.陥凹型腫瘍がde novo 癌であること,大腸癌のメインルートであることを立証するために,非常に重要な役割を果たしたのが拡大内視鏡である.われわれは一つひとつの症例について,内視鏡像,実体顕微鏡像,マクロ病理組織像の対比を地道に行いその検討を重ねたが,より詳細な検討のためには生体内での拡大観察が必須であることを痛感した.
Copyright © 2017, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.