特集 透析患者の心不全パンデミックに立ち向かう
3.バスキュラーアクセスによる循環動態への影響
橋本 幸始
1
,
上條 祐司
1
1 信州大学医学部附属病院腎臓内科
キーワード:
バスキュラーアクセス
,
過剰血流シャント
,
心不全
,
スチール症候群
Keyword:
バスキュラーアクセス
,
過剰血流シャント
,
心不全
,
スチール症候群
pp.477-481
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002974
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安定した血液透析のためにシャントは必要であるが,元来生体に存在しない低流出抵抗のシャント循環は,作製直後から心拍出量を増やすなど心機能に影響を与える.透析を継続するかぎりシャントは必要であり,心機能への影響も長期間に及ぶ.心予備能の低い症例だけでなく,心機能の良い症例においても,シャント血流が心臓の代償限界を超えて増えれば心不全を発症しうる.また,末梢循環に対してはスチール症候群を起こしうる.こうしたシャントによる害があることを認識し,シャント血流不良の症例だけでなく,現在シャントが何の問題もなく使用できている症例でも,血流がその症例に対し過剰となっていないかという視点をもつことが重要である.
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