CKD患者に推奨されるワクチン接種
腎移植患者に対するワクチン接種
磯部 伸介
1
1浜松医科大学第一内科
キーワード:
腎移植
,
ワクチン
Keyword:
腎移植
,
ワクチン
pp.709-712
発行日 2021年7月10日
Published Date 2021/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001777
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免疫抑制薬の進歩により移植腎の生着率は大きく向上し,本邦では2000年以降に,腎生着率50%が20年にせまる長期生着が期待できる治療となった1).腎移植後に長期生着,長期生存が期待できるようになった現在において,感染症は心血管疾患に次ぐ2番目の死因であり,重要な問題である.腎移植後の患者が感染症を併発すると,免疫抑制薬により初期の発熱や症状がマスクされやすいが,発症後の進行は早く重症化しやすい.また,抗菌薬による臓器障害,免疫抑制薬との相互作用や薬剤耐性菌の問題,感染症発症時には免疫抑制薬の減量が必要になり,拒絶反応のリスクが増加することなども問題となる.ワクチンで対応可能な感染症は限られており,また腎移植患者において予防接種が予後を改善できるか結論付けられる十分なデータは存在しない.しかし,上記のような問題や,ウイルス性の発癌〔B型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイルス,ヒトパピローマウイルス,EB(Epstein-Barr virus)ウイルスなど〕に関しては移植後発症率が増加することが知られており2),ワクチンで予防が可能な疾患は対応することが理想である.
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