血液浄化機器2020
第Ⅻ章 血管アクセス 3.人工血管
春口 洋昭
1
1飯田橋春口クリニック
pp.1122-1123
発行日 2020年8月20日
Published Date 2020/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001424
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現在,バスキュラーアクセス用の人工血管としては,ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)グラフトとポリウレタン製グラフトの2種類がある.ePTFE グラフトはテフロンを延伸加工して作製したものである.1972 年にはすでに,Soyer が子ブタの下大静脈をePTFEで置換しその有用性を報告した.本邦においては,1970 年代に東京大学の松本博志博士がePTFE グラフトの研究に携わり,1976 年に東京女子医科大学と信楽園病院の2 施設で,透析用人工血管の治験が行われた.そして1978年にゴアテックス人工血管が国内初のePTFEグラフトとして承認された.ePTFE グラフトは空気のバリアーがあることで,一定の疎水性を保っている.その後,耐久性,ハンドリングの良さ,合併症の少なさが評価され,現在でもバスキュラーアクセスにおける人工血管の主軸となっている.
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