特集 透析患者の感覚器障害
3.味覚障害(3)透析患者における亜鉛欠乏と亜鉛補充療法
永野 伸郎
1
,
藤本 裕子
2
,
村田 優香
2
,
溜井 紀子
1
,
伊藤 恭子
1
,
筒井 貴朗
1
1日高会日高病院腎臓病治療センター
2日高会日高病院栄養課
キーワード:
亜鉛欠乏
,
低亜鉛血症
,
亜鉛補充療法
,
味覚障害
,
医原性銅欠乏
Keyword:
亜鉛欠乏
,
低亜鉛血症
,
亜鉛補充療法
,
味覚障害
,
医原性銅欠乏
pp.43-48
発行日 2020年1月10日
Published Date 2020/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001158
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亜鉛欠乏時には,味覚障害をはじめとした多彩な症状が発現する.血清亜鉛値で判定した場合,透析患者の約半数が亜鉛欠乏症に該当し,補充のための経口亜鉛製剤として,ポラプレジンク製剤と酢酸亜鉛製剤の2 剤が存在する.亜鉛は銅の腸管吸収を低下させ,銅欠乏は鉄利用を抑制するため,亜鉛投与中は,血清亜鉛,銅,鉄濃度を数カ月ごとに測定し,医原性銅欠乏に留意する.味覚障害においてエビデンスをもつ治療法は,亜鉛補充療法のみとされる一方,透析患者においては,有効/無効の報告が混在する.どのような背景の透析患者に対し,いかなる用量および投与期間であれば,銅欠乏を招くことなく,味覚障害や他の症状が改善するのかの解明が課題である.
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