CKD 患者におけるがん化学療法─透析患者を中心に
序文
高野 利実
1
1虎の門病院臨床腫瘍科
pp.679-680
発行日 2019年6月20日
Published Date 2019/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000922
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透析についてほとんど何も知らない私が,歴史ある『臨牀透析』の企画をさせていただくというのは,青天の霹靂であった.私は,がんの患者さんを診る「腫瘍内科医」である.腫瘍内科医のおもな仕事は,抗がん剤や分子標的治療薬やホルモン療法などの「がん薬物療法」を,適切に行うことである.すべての医療行為にリスクがあるが,がん薬物療法のリスクの程度は,一般的な医療行為や一般的な薬物療法よりも高いことが多い.それでもがん薬物療法を行うのは,リスクを上回るベネフィットが期待できるからである.しかし,期待したほどのベネフィットが得られず,リスクだけを患者さんに与えてしまうことも多く,腫瘍内科医の診療は,日々迷いと反省の連続である.診察室では,患者さんと治療目標を共有し,リスクとベネフィットのバランスを慎重に検討しながら,治療目標に近づくにはどうすべきか,ギリギリの判断をしていくことになる.
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