OPINION
簡単な腹膜透析
樋口 千惠子
1
1東京女子医科大学東医療センター内科
pp.1303-1304
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000197
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私が腹膜透析(PD)診療に関わるようになって一番強く感じたことは,PDは患者が自ら治療に関わるため自己コントロールに積極的で,前向きである患者が多いという点である.また,介助が必要な場合は家族が行う場合が多いが,家族は患者の治療現場を知っているため,どのようにケアに関われるかをおのずと考え行動する.血液透析(HD)では患者は治療を受けさせられている感が強く,家族は治療現場にはあまり行かないことが多いので治療への理解が少なく,患者とともに治療に取り組む姿勢は少ないように思う.PDでは患者やその家族からこの治療を選んでよかったとの声を聞くことが多いが,HD患者からそのような声を聞いたことは残念ながらない.このように積極的に治療に取り組み経過の良い患者を見ることは医療者側にとっても大きな喜びであり,とくに実際に教育に関わる看護師はPDに携わるようになると,元気で喜んでいる患者に接し自分たちの仕事の意義を感じる人が多いと思う.しかし,本邦のPD患者数は減少傾向にあり,日本透析医学会の統計調査では2009年の9,856 人から2015 年は9,322人まで減少している.なぜ本邦ではPD患者は増えないのかという課題については種々の要因が言われているが,未だにその状況は変化していない.
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