ケース・スタディ
汎血球減少をきたした維持透析患者の1 例
長島 敦子
1
,
知名 理絵子
1
,
加藤 美帆
1
,
権藤 麻子
1
,
長岡 由女
1
,
岡田 知也
1
,
菅野 義彦
1
1東京医科大学腎臓内科学分野
キーワード:
高齢者
,
貧血
,
造血器腫瘍
Keyword:
高齢者
,
貧血
,
造血器腫瘍
pp.710-716
発行日 2017年6月10日
Published Date 2017/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000075
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症 例:86 歳,女性主 訴:全身倦怠感,食欲低下既往歴:78 歳;胆囊摘出術(胆石),82 歳;両側眼内レンズ挿入術(両側白内障),83 歳;良性発作性頭位めまい症,発作性心房細動家族歴:なし生活歴:喫煙・飲酒歴はない現病歴:73 歳から2 型糖尿病を他院で指摘されて,内服加療を開始した.83 歳からインスリンを導入した.合併した高血圧症の管理を目的に82 歳時に当院を受診した.その際sCre 4.3 mg/dL,eGFR 8.1 とCKD stage G5 であり,糖尿病性腎症に対して外来で管理されていたが,某年3 月,85 歳時にうっ血性心不全を契機に血液透析を導入され,以降は週3 回の維持透析を受けていた.透析を導入して7 カ月後,10 月中旬の定期採血で,Hb が以前の10〜11 g/dL 台から9.4 g/dL に低下し,フェリチン28.5 ng/mL,鉄/総鉄結合能105/261,網赤血球は23.1 ‰であった.ダルベポエチンアルファ(DA)の投与量を30 μg から40 μg に増量したが,鉄欠乏も合併していると考えて補充療法を開始した.この頃から全身倦怠感,食欲低下が出現した.11 月上旬の定期採血でHb8.8 g/dL,中旬には8.2 g/dL,平均赤血球容積(MCV)96.8 fL で正球性正色素性貧血が進行した.
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