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はじめに
高流量経鼻カニューレ(high-flow nasal cannula:HFNC)は酸素投与に加えて呼吸補助が可能な非侵襲的デバイスである。HFNCは大まかな構造としてブレンダー,加温・加湿器,鼻カニューレによって構成されている(図1)。ブレンダーで酸素と空気が混合され,最大で60l・min−1(一部の機種では70l・min−1)という高流量で酸素濃度を調節して患者に投与される。
通常の酸素マスクや鼻カニューレなどの標準的な酸素療法は低流量システムであり,吸気時には周囲の大気が混ざり実際の吸入酸素濃度はせいぜい50%以下になる。これに対して,HFNCは高流量システムに分類され,患者の吸気流量を上回るガス流量が投与できるので,大気の混入が少なく,設定した酸素濃度のガスを肺胞まで届けることができる。
さらに,HFNCは高流量ガスを加温・加湿して患者に供給するため,粘膜の乾燥による不快感を軽減する。また,HFNC同様に非侵襲的呼吸補助デバイスである非侵襲的陽圧換気(non-invasive positive pressure ventilation:NIPPV)や持続陽圧呼吸(continuous positive airway pressure:CPAP)と比較して,HFNCはデバイスが顔に密着していないため,患者は会話や経口摂取を行うことが可能であり,患者にとって不快感が少なく治療の忍容性が良いという特長がある。
医療者側の観点からは,医師は基本的に流量と酸素濃度の2つの要素を設定するだけでよい。また,NIPPVやCPAPではデバイスのずれに対応する必要があり,実際に患者への装着中の対応を主に担当する看護師にとって業務負担が大きい。一方,HFNCは患者とデバイスの間に隙間があるため,リークによるアラームの心配はないことから,装着後は管理が比較的容易であり,この点もHFNCの魅力の一つである。
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