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はじめに
麻酔はその昔,外科学から派生した。そして時代とともに大きく発展し,教育体制の拡充やより安全な薬物や機器の開発とともに患者の “命の預け先” として重宝される診療科へと成長した。麻酔科は現在,病院の中央診療部門として周術期と,より長期にわたる周麻酔期の診療を多職種で協働する診療体制の中核として,その診療範囲を展開している。
日本麻酔科学会が推進する “周術期管理チーム”1)(2007年に提唱,2014年より順次認定制度を開始)など,周術期の多職種連携が公に動き始めたのは比較的最近の出来事である。このことにより,麻酔診療分野で多職種による協働が実現し,麻酔診療が充実しただけでなく,診療内容と勤務時間の両方の側面より医師への過剰な負担が軽減された。連携体制により麻酔科医師が本来の麻酔業務にいっそう専念できるようになることから,麻酔科の内部だけでなく,病院を挙げて推進する方向に進んできた。その一方で,医師以外の診療の担い手に業務がタスクシフト・タスクシェアされるため,医師が経る6年間の医学教育や研修・経験を除外した診療体制が起こりうる危険性をはらんでいることの指摘もある。われわれが忘れてはならないのは,医師法において医業は医師のみに許されていること,また医師以外の職種が医師の指示のもとに診療の補助として医行為を代行する際に医療の質を落としてはならないことであり,個々の医療従事者の良心や責任を超え国全体の方針として現場レベルでのきめ細やかな取り決めやルールの策定が求められている。その礎となるのが,患者の安全を守るという大前提であることはいうまでもない。
本論文では,麻酔科領域における安全な職種間連携のモデルが何であるかを討議し,さらに踏み込んで周麻酔期のチームを主導する立場にある麻酔科専門医に求められるコミュニケーションなどノンテクニカルスキルの要素について紐解いてみたい。
Historically, the practice of anesthesia evolved from being administered on the side by surgeons, to becoming a full medical specialty. Perioperative and perianesthesia care, by its nature, involves multiple professions and specialties. However, the transition to a more collaborative model of team medicine has been a recent development in Japan, becoming officially recognized in the past 10-20 years. The Japanese Society of Anesthesiologists proposed their “Perioperative Team” concept in 2007, and began certification programs from 2014. The diversification of anesthesia care and workload management through interprofessional collaboration, for example with advanced practice nurses such as perianesthesia nurses, is a welcome development. However, task-shifting from physicians to non-physician medical staff must not come at the expense of patient safety. Safe models of interprofessional collaboration, as well as training in non-technical skills such as communication are vital to board certified anesthesiologists who take on leadership roles in such collaborating teams.
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