増刊号 それぞれの創傷治癒
Ⅰ.組織障害 5.放射線皮膚障害における 創傷治癒
西條 広人
1,2
,
樫山 和也
1
,
田中 克己
1
1長崎大学病院形成外科
2長崎大学原子力災害対策戦略本部
pp.S76-S80
発行日 2024年6月30日
Published Date 2024/6/30
DOI https://doi.org/10.18916/keisei.2024130020
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はじめに
放射線照射による皮膚障害は,短時間に1 Gy以上の全身性の被曝を受けた場合に生じる多臓器障害である急性放射線症候群(acute radiation syndrome:以下,ARS)に合併する広範囲熱傷様の皮膚障害(cutaneous radiation syndrome:以下,CRS)と,局所への高線量外部被曝による局所放射線障害(local radiation injury:以下,LRI)に大別される(表1)。わが国では特に悪性腫瘍に対する放射線治療や画像下治療(interventional radiology:IVR)などの医療被曝の合併症として生じるLRIに遭遇する機会が多い。原子力発電所事故や放射線に関する事故事例は,頻度は低いものの国内でも発生しており,これらの原子力災害・放射線事故でも放射線皮膚障害を生じる可能性がある 1)~3)。
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