増刊号 それぞれの創傷治癒
11.脂肪組織の創傷治癒
素輪 善弘
1
1自治医科大学形成外科学講座
pp.S51-S56
発行日 2024年6月30日
Published Date 2024/6/30
DOI https://doi.org/10.18916/keisei.2024130014
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はじめに
脂肪組織の創傷を扱う場合,まずはその解剖学的・生理学的特徴を理解し,創のサイズや深さ,そして感染状況に応じた適切な対応が肝要である。最近では損傷した脂肪組織の組織特異的な修復機転と再生プロセスの理解も進んでおり,健常な脂肪組織をほかの病的な組織障害部位へ移植することで正常化させるような利用法も注目されている。脂肪組織には間葉系幹細胞や血管内皮細胞などが豊富にあり,脂肪細胞も脂肪組織の創傷治癒に深く関与している。これらを含む健常な脂肪組織をアプローチ法や目的に合わせて脂肪組織由来治療プロダクトに加工することで,さまざまな病的組織障害の改善や美容医療に再生医療ツールとして利用可能である。
本稿ではテーマを「脂肪組織の創傷治癒」から「脂肪組織を用いた創傷治療」に発展させながら広く概説する。
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