増刊号 それぞれの創傷治癒
1.イモリの創傷治癒
石井 龍之
1
,
高清水 一慶
2
,
貴志 和生
1
1慶應義塾大学医学部形成外科学教室
2信州大学医学部形成再建外科学教室
pp.S2-S6
発行日 2024年6月30日
Published Date 2024/6/30
DOI https://doi.org/10.18916/keisei.2024130004
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はじめに
究極の医療とは何か。SF映画や漫画「ドラゴンボール」のピッコロ大魔王のごとく,四肢をまるごと自己再生させるような医療が実現できれば,それはまさに究極と呼ぶにふさわしいのではないだろうか。自己再生が可能となれば,事故で手足を失ったり,病変切除による臓器欠損が生じたりしても,再生誘導で元どおりにすれば万時解決できる夢のような治療である。現在の医療では到底不可能な技術だが,世の中にはすでに自己再生を可能とする生物たちがいる。両生類はその代表格であるが,とりわけ日本固有種であるアカハライモリは生涯にわたり強い再生力を維持する点で他と一線を画しており,近年注目を集めている。
本稿では,イモリの創傷治癒について紹介するとともに,今後の再生医療研究の展望について述べたい。
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