投稿論文 短報
人工心肺中の脳局所酸素飽和度の低下から卵円孔開存による左心系への空気混入が明らかになった1症例
山本 剛史
1
,
谷口 巧
1金沢大学附属病院 麻酔科蘇生科
キーワード:
空気塞栓症
,
酸素飽和度測定
,
脳循環
,
心肺バイパス術
,
酸素欠乏
,
経食道心エコー図
,
頭蓋内塞栓症
,
卵円孔開存
,
頭部CT
Keyword:
Hypoxia
,
Cardiopulmonary Bypass
,
Embolism, Air
,
Echocardiography, Transesophageal
,
Oximetry
,
Cerebrovascular Circulation
,
Foramen Ovale, Patent
,
Intracranial Embolism
pp.138-142
発行日 2021年2月10日
Published Date 2021/2/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021135682
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
57歳男性。発熱で近医を受診し、ペースメーカリードに付着する疣贅が指摘され、血液培養からCandida parapsilosisが検出された。感染性心内膜炎の治療と外科的ペースメーカリード抜去を目的に当院へ転送されたが、その際、ペースメーカリード抜去術において心拍動下人工心肺中に急激な脳局所酸素飽和度(rSO2)の低下が認められた。経食道心エコー検査で送血流の確認を行ったところ、弓部大動脈内に大量の空気が混入した血流が認められ、直ちに頭低位とし、上行大動脈にルートベントを挿入した。その結果、弓部大動脈内の空気は消失し、rSO2も回復がみられ、卵円孔を直接縫合で閉鎖後、リード抜去が行なわれた。術後は空気塞栓後の脳浮腫を認め、濃縮グリセリンの投与で脳浮腫は改善したが、左上肢には軽度不全麻痺が残存した。
Copyright© 2021 KOKUSEIDO CO., LTD. All Rights Reserved.