投稿論文 短報
先天性低フィブリノゲン血症患者における緊急帝王切開の麻酔経験
川並 俊介
1
,
山下 敦生
,
森岡 智之
,
大野 宏幸
,
奥 朋子
,
松本 美志也
1山口大学医学部附属病院 麻酔科蘇生科
キーワード:
Fentanyl
,
Propofol
,
血漿
,
Fibrinogen
,
胎盤早期剥離
,
帝王切開術
,
妊娠合併症-血液系
,
産科麻酔
,
先天性低フィブリノーゲン血症
,
Sevoflurane
,
緊急手術
,
新鮮凍結血漿
Keyword:
Anesthesia, Obstetrical
,
Fentanyl
,
Fibrinogen
,
Abruptio Placentae
,
Afibrinogenemia
,
Propofol
,
Sevoflurane
,
Plasma
,
Plasma
,
Pregnancy Complications, Hematologic
,
Cesarean Section
pp.195-199
発行日 2020年2月10日
Published Date 2020/2/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020182774
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症例は1経妊の30歳で、2年前の1回目妊娠時にフィブリノゲン(Fbg)を定期的に測定され、Fbgは120~170(mg・dl-1)台で推移し、妊娠経過は順調で自然分娩予定であったが、妊娠39週に常位胎盤早期剥離(早剥)となり緊急帝王切開が行われていた。先天性Fbg血症患者のFbg値管理では妊娠経過に伴い目標値を高くしていく必要があり、その目安として、妊娠前期は100以上、妊娠中期は150以上、陣痛発来時は200以上に保持することが推奨されている。今回の妊娠時にはこのプロトコールに沿ってFbg値のコントロールを行い、結果的には早剥となったが、入院のうえ管理していたことで診断から手術まで産婦人科と手術部・麻酔科が速やかな連携をとり対応することができた。また、当院では乾燥人フィブリノゲンを普段常備していないが、今回の妊娠時にはFbg補充療法を継続するために十分な乾燥人フィブリノゲンを準備し、周術期に迅速な投与が行えた。このようなFbg値管理や迅速な対応により、1回目妊娠時に比べて術中の出血量や周術期の輸血量を抑えることができたと考えられた。
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