投稿論文 調査
当科における脂腺母斑例の検討
高尾 胤未
1
,
覚道 奈津子
,
日原 正勝
,
益岡 弘
,
福井 充香
,
松岡 祐貴
,
楠本 健司
1関西医科大学 形成外科学講座
キーワード:
基底細胞癌
,
再発
,
皮膚腫瘍
,
治療成績
,
アポクリン腺癌
,
母斑-脂腺
Keyword:
Carcinoma, Basal Cell
,
Skin Neoplasms
,
Treatment Outcome
,
Recurrence
,
Nevus, Sebaceous of Jadassohn
pp.849-854
発行日 2021年7月10日
Published Date 2021/7/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021304980
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
2006年4月~2019年4月に当院を受診し、治療を行った脂腺母斑の119例(男性55例、女性64例)について臨床統計学的に検討した。発生部位としては、総病巣数139個のうち100個が毛髪部に認められ、全体の72%を占めた。部位的内訳は、頭頂部48個(34.5%)、側頭部27個(19.4%)、後頭部21個(15.1%)、前頭部4個(2.9%)であった。多発例は119例中10例(8.4%)に認められた。治療方針として、単純縫縮は139個中107個であった。局所皮弁適応例が6個で、2cm大、3cm大、5cm大の腫瘍がそれぞれ2個であった。炭酸ガスレーザー照射のみの症例が2個、レーザーを併用したものが1個あり、単純縫縮にて切除可能な部分に対して切除・単純縫縮し、残りの病巣に対してレーザー照射を施行した。生検のみの症例が1個であった。再発例は3個に認められた。いずれも、取り残しによる再発である可能性が高いと考えられた。腫瘍合併例は、総病巣数139個中8個に認められ、発生年齢は7~70歳であり、40歳以上で見ると14例中6例であった。良性腫瘍4例、悪性腫瘍4例で、40歳以上の14例で見ると、良性腫瘍2例、悪性腫瘍が4例であった。良性腫瘍は、毛芽腫が2例、毛根鞘腫・汗管腫が各1例ずつであった。発生部位は毛髪部が1例、残り3例は顔面に発生していた。悪性腫瘍は、基底細胞癌2例、アポクリン腺癌毛包上皮腫の併発1例、アポクリン腺癌と皮脂腺癌の併発1例であった。発生部位は、毛髪部が3例で、顔面に1例であった。
Copyright© 2021 KOKUSEIDO CO., LTD. All Rights Reserved.