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乳房インプラントを用いた乳房再建は2013年に保険収載された。今回、保険収載前の1991~2009年にティッシュ・エキスパンダーと乳房インプラントを用いた乳房再建を自費診療で行い、術後経過を継続観察できた269例(285乳房)を後ろ向きに解析した。再建方法は、二次二期再建がもっとも多く、285乳房中163乳房(57.2%)、一次二期再建103乳房(36.1%)、他院で乳房再建完了後の修正再建16乳房(5.6%)、乳房部分切除後の再建3乳房(1.0%)であった。乳房再建に伴う乳頭乳輪再建率は、乳癌手術時に乳頭・乳輪を切除された244症例のうち、乳頭・乳輪作成を施行したのは226乳房で再建率は92.6%、乳頭・乳輪作成を行わなかったのは18乳房(7.3%)であった。最も多かった作成法は乳頭移植と刺青による乳輪の着色の組み合わせで133乳房、次に局所皮弁による乳頭形成と刺青による乳輪の着色の組み合わせが48乳房、健側からの乳頭・乳輪移植が37乳房、刺青のみが4乳房、不明が4例であった。乳房の対称性を得るための健側乳房増大術や健側挙上固定術などのタッチアップ手術を行ったのは100乳房(39.5%)で、術式の内訳は乳房増大術が61乳房、挙上固定術が35乳房、縮小術が4乳房であった。エキスパンダー挿入中に再手術に至ったのは10乳房(3.5%)、インプラント留置後に再手術に至ったのは54乳房(18.9%)であった。再建完遂後の長期経過中に対側の異時性乳癌の発症を39乳房(13.9%)、局所再発を7乳房(2.5%)、遠隔転移を11乳房(3.96%)に認めた(2項目以上の重複症例3例を含む)。初回乳癌手術からそれぞれの病変が発症するまでの期間は、異時性乳癌は平均10年、局所再発は平均8年、遠隔転移は平均9年であった。
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