特集 ペット咬創への初期治療と整容の改善[4]-上肢・手・指の骨髄炎ほか-
ネコ咬傷後に指骨骨髄炎を来たした1例
森 秀樹
1
,
松本 麻由
,
戸澤 麻美
,
中岡 啓喜
1愛媛大学医学部附属病院 形成外科
キーワード:
Penicillins
,
X線診断
,
咬傷と刺傷
,
骨移植
,
骨髄炎
,
内固定法
,
骨ワイヤー
,
手指外傷
,
デブリードマン
,
腸骨
,
ネコ
,
人獣共通感染症-細菌性
Keyword:
Bites and Stings
,
Finger Injuries
,
Fracture Fixation, Internal
,
Bacterial Zoonoses
,
Bone Wires
,
Ilium
,
Bone Transplantation
,
Penicillins
,
Osteomyelitis
,
Radiography
,
Debridement
,
Cats
pp.551-558
発行日 2021年5月10日
Published Date 2021/5/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021227810
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55歳男性。ネコに右示指を咬まれたが放置し受傷後5日より排膿を認めた。前医にて抗生剤内服・静脈投与、切開術、創内の掻爬術を行ったが増悪した。切断を勧められたが患指温存の強い希望があり、紹介受診となった。血液検査、単純X線所見より化膿性腱鞘炎および指骨骨髄炎と診断した。デブリードマン、不良肉芽掻爬、壊死した深指屈筋・伸筋腱の切除、可能な限りの遊離骨片の除去を行い、末節骨と中節骨をキルシュナー鋼線で固定した。細菌培養からPasteurella multocida、Peptostreptococcus anaerobius、グラム陽性桿菌を検出したため、術後、2週間のペニシリン製剤静脈投与、1日2回の生理食塩水による創部洗浄を行った。キルシュナー鋼線は3週間目に自然抜去され、約1ヵ月で炎症は改善し、創部は上皮化したが偽関節の残存を認めた。偽関節の治療は1年6ヵ月後に行ったが、移植腸骨の完全生着に6ヵ月以上を要し、指の短縮、感覚障害は残存している。
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