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長掌筋腱付き前腕皮弁を用いた軟口蓋全欠損再建の1例
乜 也
1
,
池田 実香
,
松添 晴加
,
高橋 夏子
,
片岡 和哉
,
山本 一郎
1京都大学 大学院医学研究科形成外科学
キーワード:
構音障害
,
口蓋腫瘍
,
術後合併症
,
術後管理
,
腺様囊胞癌
,
軟口蓋
,
発話療法
,
筋皮弁
,
口蓋形成術
,
長掌筋
,
口蓋床
Keyword:
Articulation Disorders
,
Speech Therapy
,
Palate, Soft
,
Palatal Neoplasms
,
Postoperative Care
,
Postoperative Complications
,
Carcinoma, Adenoid Cystic
,
Myocutaneous Flap
pp.52-60
発行日 2021年1月10日
Published Date 2021/1/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021131239
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症例は37歳女性で、喉の違和感を主訴とした。軟口蓋の腺様囊胞癌に対して気管切開・下顎正中離断による軟口蓋腫瘍切除が行われ、口蓋帆挙筋は左側断端を一部残存して軟口蓋とともに全切除、上咽頭収縮筋は右咽頭側壁とともに25%程度切除された。欠損範囲に合わせて長掌筋腱付き左前腕皮弁(7×8cm大)をデザインし、長掌筋腱を咽頭側壁断端、口蓋帆挙筋断端付近および咽頭側壁に縫着して鼻腔側、口腔側および咽頭側壁の粘膜欠損部を再建した。その結果、嚥下機能は特別なリハビリを行うことなく良好に回復した。また、術後早期から軟口蓋挙上装置を装着して構音訓練を行った。その結果、開鼻声値はほぼ正常値に改善し、妊娠、出産、育児をしながら仕事復帰を果たした。術後4年経過時点で言語明瞭度は良好であり、鼻咽頭閉鎖不全はほとんどなく、鼻閉感は認めない。
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