症例
産褥10日目に大動脈解離を発症したロイスディーツ症候群(Loeys-Dietz syndrome)合併妊娠の1例
淡路 拓也
1
,
坪内 弘明
1,2
,
田中 良知
1
,
荻田 和秀
1
T. Awaji
1
,
H. Tsubouchi
1,2
,
Y. Tanaka
1
,
K. Ogita
1
1りんくう総合医療センター産婦人科
2川崎医科大学産婦人科
pp.1019-1024
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003545
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Loeys-Dietz症候群(LDS)は遺伝性結合織疾患であり,若年でも致死的な大動脈疾患を発症することがある。一般的には妊娠中の大動脈解離はまれだが,LDS合併妊婦では重篤な合併症の1つとなる。本症例は28歳,1妊0産。大動脈解離の家族歴があり,妊娠23週に施行した遺伝子検査でLDSと診断された。妊娠経過は順調で,妊娠36週に選択的帝王切開を施行し,術後5日目に退院となった。妊娠中から産褥期を通して大動脈基部の拡張を認めず,大動脈解離の発症リスクは低いと思われた。しかし,術後10日目に自宅で突然背部痛を自覚し当院へ救急搬送され,Stanford B型大動脈解離と診断された。保存的治療を行い,術後16日目に退院となった。LDS合併妊娠では,産褥期にも大動脈解離のリスクが持続し,低リスクであると思われても長期入院を含めた慎重な管理が必要であると考えられた。

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