特集 産婦人科医が知っておきたい 女性アスリートの生涯サポート
各論
4.女性アスリートにおける避妊,ホルモン療法,および月経移動
寺本 瑞絵
1
M. Teramoto
1
1NTT東日本札幌病院産婦人科(部長)
pp.771-780
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003479
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年,女性アスリート人口は増加している。月経随伴症状は練習量や競技成績に影響を及ぼすことが知られており,月経管理と避妊は女性アスリートの健康とパフォーマンスを同時に最適化するうえで不可欠である。OC/LEPなどのホルモン療法は主要競技会日程と月経周期の重複を回避し,月経痛や経血量を軽減し,ホルモン変動を平坦化する利点がある一方,気分変調や体組成変化などの副作用を伴う場合がある。また,アスリートにおけるOC/LEP使用時の静脈血栓塞栓症(VTE)リスクは一般若年層と同程度であるものの,長距離移動,脱水,外傷が重なる競技環境では上昇しうるため予防策が求められる。国際的にはプロゲスチン製剤や,局所作用により全身への影響を抑えつつ出血を最少化するホルモンIUD(hIUD)などの長期作用型可逆的避妊薬(LARC)の利用が主流化しつつある。フレキシブル投与を含む個別化プロトコル,LARCを含めた選択肢拡充への対応,長期モニタリング体制の確立,多職種連携の整備が,女性アスリートの生涯健康とハイパフォーマンスを両立させる鍵となる。

Copyright © 2025, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.