症例
母体バセドウ病に合併した胎児甲状腺腫に対し,超音波検査を用いた甲状腺機能スコアリングシステムにより甲状腺機能評価を行い胎児治療を行った1例
島瀨 奈津子
1
,
阿部 恵美子
2
,
宮内 省蔵
3
,
横畑 理美
2
,
上野 愛実
2
,
池田 朋子
2
,
田中 寛希
2
,
森 美妃
2
,
近藤 裕司
2
N. Shimase
1
,
E. Abe
2
,
S. Miyauchi
3
,
S. Yokohata
2
,
M. Ueno
2
,
T. Ikeda
2
,
H. Tanaka
2
,
M. Mori
2
,
Y. Kondo
2
1独立行政法人国立病院機構四国がんセンター産婦人科
2愛媛県立中央病院産婦人科
3愛媛県立中央病院糖尿病・内分泌内科
pp.93-97
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002839
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症例は30歳,G1P0,27歳よりバセドウ病に対し内服加療を行っていた。自然妊娠成立後,妊娠30週3日の健診にて胎児甲状腺腫大および羊水過多を認めたため,妊娠31週1日より入院管理を開始した。超音波検査を用いたHuelらのスコアリングシステムより胎児甲状腺機能低下症と推定し,妊娠31週6日より1週間ごとにレボチロキシン羊水腔内投与を行った。妊娠34週頃より羊水量は正常化し,それ以上の甲状腺腫大も認めなくなった。羊水腔が縮小し穿刺困難となったため,投与を中止し,分娩の方針とした。妊娠38週2日より分娩誘発を行ったが有効陣痛には至らず,胎児機能不全のため妊娠39週3日に緊急帝王切開術にて3,187gの男児を分娩した。児は精査目的にNICU入院となったが,甲状腺腫大は軽度で,甲状腺機能の改善が確認されたため,5生日にNICU退室となり,治療介入なく経過観察となっている。
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