特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
V.内分泌系
1.甲状腺疾患の診かた
甲状腺腫のない甲状腺機能亢進症
大野 文俊
1
1徳島大内科
pp.1133-1135
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204228
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甲状腺腫は触れないが
表題の意味は,甲状腺腫を認めえないが甲状腺機能亢進症,あるいは類似の症状を呈するものと理解してよいと考える.また現在では131Iを用いて検査を行なえば正確に甲状腺の認知や,その機能測定が可能となっているから,実地臨床上における表題のごとき症例というのは,外見または触診上,前頸部に甲状腺腫は認めがたいにもかかわらず頻脈,手指振せん,発汗,神経不安などがみられBMR,(Read式によるものでもよい)が増加しているという場合が大部分と思われる.
このような症例については古くからいくつかの名でよばれてきており,たとえばmasked hyperthyroidism(Charcot),basedoid,formes frustes(Zondek),para-Basedow(Labbè)などや最近ではextrathyroidal hyperthyroidism(Zondek),extrathyroidal hypermetabolism(Bruger)などがある.
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