特集 妊娠に影響する感染症の最新知識
13.HIV感染症
塚田 訓久
1
K. Tsukada
1
1国立病院機構東埼玉病院 臨床研究部
pp.731-736
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002619
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抗HIV療法の進歩により,HIV感染症は長期生存可能な慢性疾患となっている。現在では1日1回1錠の配合錠による治療が主流であり,早期に診断され良好にコントロールされたHIV陽性者の生命予後はHIV陰性の場合に遜色ないと考えられている。また,治療により血中ウイルス量が抑制されていれば,コンドームなしの性交渉があってもパートナーに事実上感染しないことが実証されている。母体がHIV陽性の場合でも,妊娠初期に診断され適切に管理されていれば,母子感染はほぼ生じない。かつて推奨されていた分娩中の母体へのジドブジン投与は,ウイルス量が抑制されている妊婦には不要とされた。全例帝王切開の必要性は医学的には根拠を失いつつあるが,実臨床への適用にあたっては施設の体制を念頭においた症例ごとの検討が求められる。
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