特集 産婦人科漢方医学―基礎と臨床のエビデンス―
基礎研究における漢方のエビデンス
2.更年期うつ症状に対する加味逍遥散の効果
-―更年期うつ病モデルマウスを用いた検討―
清水 尚子
1
,
石野 雄吾
1
,
武田 卓
2
,
遠山 正彌
1,3
,
宮田 信吾
1
S. Shimizu
1
,
Y. Ishino
1
,
T. Takeda
2
,
S. Miyata
1,3
,
M. Tohyama
1
1近畿大学東洋医学研究所分子脳科学研究部門
2近畿大学東洋医学研究所女性医学部門
3地方独立行政法人大阪府立病院機構
pp.231-235
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002484
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女性の更年期障害は,卵巣機能低下によるエストロゲン分泌減少などの生物学的要因に加え,社会心理的ストレスなどの環境要因が複雑に関与し,身体的症状や精神的症状を呈する。これらの症状に対し,女性三大漢方薬の1つである加味逍遥散(KSS)が汎用され,特にうつ・不安,イライラなどの精神的症状改善において臨床的評価が高い。本研究は,更年期うつ症状を改善するKSSの作用機序解明を目的とし,更年期うつ病モデルマウスを用いた解析を行った結果,KSSが海馬におけるセロトニン1A(5-HT1A)受容体発現回復およびPKA-CREB-BDNF経路の活性化を介してうつ症状を改善している可能性が示唆された。
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