診療
摂食障害アスリートに対し多領域連携の診療によって改善した1例
窪 麻由美
1,2
M. Kubo
1,2
1順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科(非常勤助教)
2医療法人舘出張佐藤会フィーカレディースクリニック(副院長)
pp.507-513
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001275
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女性アスリートの摂食障害は一般人口に比し発症リスクが2〜3倍高く1),痩身のほうが有利と思われがちな競技群で多いとされる。今回,婦人科,メンタル科,栄養科の多領域連携の診療によって改善したアスリートの摂食障害症例を報告する。症例は16歳,陸上競技選手,続発性無月経を主訴に外来受診。明らかな低体重・低栄養状態(身長163cm,体重37.7kg,BMI 14.2,体脂肪率6.9%)で,摂食障害の傾向が認められたため,メンタル科へコンサルトし,選手,保護者に対しカウンセリングを行った。婦人科,メンタル科,スポーツ栄養士との診療を定期的に行うとともに,診療状況をカルテとカンファレンスにて情報共有した。初診から11カ月後に体重44.8kg,BMI 16.8,体脂肪率11.6%となり,診療中の表情に変化や精神状態の安定が認められた。本症例は続発性無月経が受診のきっかけとなって,早期介入につながったもので,長期的な計画を立て多領域がかかわることでより治療効果が高まることが示唆された。
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