臨床経験
更年期障害に対するホルモン補充療法,漢方薬,エクオールの治療効果の検討
佐藤 智子
1
T. Sato
1
1医療法人社団ともこレディースクリニック(理事長・院長)
pp.1585-1591
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001126
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【目的】更年期障害に対するHRT,漢方薬,エクオールの単独療法での治療効果の比較検討。
【対象と方法】更年期障害を主訴に受診し簡略更年期指数(SMI)にて治療効果判定が可能であった86例。治療方法の選択は患者本人との相談で行い,漢方薬は随証投与とした。漢方群35例,HRT群22例,エクオール群29例におけるSMI総スコアおよび各10項目について治療前後のスコアの変化を解析した(Wilcoxon符号付順位和検定)。
【成績】全群で治療後にSMI総スコアが有意に低下し,10項目すべてのスコアの平均値が低下した。「ほてり」「発汗」「動悸」「不眠」「易疲労感」は全群でスコアが有意に低下した。「ほてり」「発汗」はHRT群が漢方群,エクオール群より有意にスコアが低下した(p<0.05)。漢方群,エクオール群は,HRT群より精神神経症状,運動神経症状など多くの項目でスコアが有意に低下した。
【結論】HRT,漢方薬,エクオールはいずれも更年期障害に対し有効だった。エクオールはマイルドなHRTとしてのみならずプラスアルファの効果が期待できる。治療法により症状の改善度に差がみられ,個々の症例に応じた選択が必要と考えられた。
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